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整形外科医が寿命を考える(後編)「健康寿命」

2023.09.23

またもやご無沙汰😝

きたかたいんちょーです🧑‍⚕️

階段半ばで目線の高さにつぶらな瞳が待ち受けるこの至福🥰🐈🐈‍⬛

みなさん、いかがお過ごしでしょうか❓
北国も、ようやく少し涼しくなってきました。てか、すでに肌寒いって🥶 秋はいずこへ…🍂🧐

末っ子のピアノ発表会で「ルパン三世のテーマ」を連弾してきました🔫🕵️

もともとカッコいい曲なんですけど、でもカッコよく弾くのは難しいんです…。
というか、指が動かーん😩
別にムカシ習ってた頃にめっちゃ指がよく動いてたワケでもないすけどねー😓

とにかく、国際学会での英語口演発表よりキンチョーします😱 ま・じ・で🤘
(実は発表会の前週にローマの国際肩肘学会で発表してきたんですが、スライド準備よりピアノ練習を優先してました😅)

結果は…、

おおむね問題なく演奏はできましたが、お約束通りちょびっと間違えました…🙇‍♂️

出直してきます。来年リベンジです。
毎年参加し続けて、名物オジサンになります🥸

次です。

これまた末っ子と、植松電機の土曜ロケット教室へ行ってきました🚀
https://uematsudenki.com/srs/

各自キットを使ってロケットを手作りし、実際に飛ばしてくれます😄
楽しいし、社長のハナシが良い👏

そして、きたかた院長としては、やっぱりこうなりました👇

オモテ
ウラ

ちゃんと飛んで🚀パラシュートで無事降りてきて🪂大満足👍
持ち帰ったので、きたかた整形外科クリニックの受付カウンターにコッソリ置いておこうかなー、なんて思いつつもまだ躊躇っている、きたかたいんちょーです🧑‍⚕️ 宇宙行きたい🧑‍🚀🚀🌕

そして、

Movie buddy (映友(=えーとも))のムスコが先月から海外留学してしまい、パッタリ映画に行くきっかけを失ってしまって、マンモスかなピーです😭

そんな中、海外渡航時に機内で観た2本を🎬🎬

The Covenant

アフガニスタン戦線で傷ついた米軍軍曹と、命を懸けてその軍曹を救い出した現地人通訳との物語。日本公開は来年とのことで、内容は控えますが、私は結構楽しめました。日本人にとって馴染みの少ない中東諸国の文化や歴史にも興味を持ちつつある今日この頃です。

Avatar: The Way of Water

映像もとてもよくできているしストーリーも良かったですけど…、長い。ロシア上空を迂回するので片道13-14時間かかる欧州フライトで観たので十分な時間があったはずですが、ワイン飲みながら観てるとどうしても眠りに落ちてしまい、結局復路で見終わるという…。米兵がavatarの一員になって暮らしている、というそもそもの前提部分について初回作の記憶が完全に抜け落ちているので、見直さないと。でも、いかんせん初回作も長いからなかなかその気になれない、という。ショート動画に慣れすぎかな…🤔(そんなん全然観てませんが😛)なーんか、不完全燃焼感が残ってます。

ちなみにですが、

海外から帰ってきてスーツケースから荷物を出して片付けていて、ちょっと油断すると…👇

こらっ❣️ 🥳 🐈‍⬛🐈

さて、

前回の「平均寿命」に引き続いて、今回は「健康寿命」🧑‍⚕️

結局1カ月近く経過してしまったので、「平均寿命」を語った前回ブログのリンク貼っておきます👇

ところで、「健康寿命」とは何か❓🤔

WHO(世界保健機関)による定義は、
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」だそうです。

Healthy life expectancy (HALE) at birth
Definition:
Average number of years that a person can expect to live in “full health” by taking into account years lived in less than full health due to disease and/or injury.

最近のデータを見ましょう。

日本における2019年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳。https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf

2001年から男性の方が女性より健康寿命は延伸して、男女差も若干縮小しているそうです。

で、その平均寿命と健康寿命の差に関して、

その差は「不健康な期間」を意味しますが、2010年から男女とも徐々に縮小傾向にあり、2019年では男性8.73年、女性12.06年となっています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html#:~:text=%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%AF%BF%E5%91%BD%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%8C0,%E6%AD%B3%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

高齢化が急速に進む中、生活の質を維持し社会保障制度を持続可能とするには、健康寿命と平均寿命との差を縮小することが重要であり、「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」が目標とされています。要は、平均寿命を相対的に短くして差を縮めても仕方なくて、健康寿命を相対的に長くすることで差を縮めましょう、ということですね。

屁理屈コネ太郎のワタクシとしては、こういう話、どうしてもツッコミたくなっちゃいます🙏
(もし万が一、これらの調査に携われる方が読まれるようなことがあって不快に感じられたら本当に申し訳ございません。全力で謝ります🙇‍♂️)

続けます。

前回説明した「平均寿命」については、要は「生きていられる期間」であって、人の死は(定義の議論こそありますが)比較的明らかなので、さほど抵抗なく受け入れられます。

でも、「健康寿命」ってのはなかなかすんなり受け入れられません。
だって…、「健康に生きていられる期間」なわけですよね?

何をゴネたくなるかと申しますと、

  • 「そもそも健康(不健康)って何?」(定義)
  • 「どうやって判断するの?」(算出方法)
  • 「そんな単純に語れるの?」(バイアス)
  • 「どう判断すればいいの?」(解釈)
  • 「どう活かせるの?」(臨床意義)

とかっていう疑問が湧き上がってくるわけで。

まず①。健康って❓健康寿命って❓
ここは②の算出方法も含めた方が語りやすそう。

健康寿命の定義・算出方法
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-001.html
<定義> 
・健康寿命とは、ある健康状態で生活することが期待される平均期間を表す指標
<算出方法>
・健康な状態と不健康な状態とに二分して健康な状態の期間を表す方法
・不健康な状態をレベルによって重みづけし、完全な健康に相当する期間として表す方法
※ 日本が採用しているのは前者(WHOが発表している各国の健康寿命は後者)
(あ、日本の健康寿命はWHOと違って段階分けせず二者択一なんですね)

👇

2012年に策定された健康日本21(第二次)では、
「日常生活に制限があること」「不健康」と定義。「国民生活基礎調査」(3年ごと)から算出。

(1)「日常生活に制限のない期間の平均」(主指標)
  質問:「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか?」
  回答:「ない」⇨「健康」
     「ある」⇨「不健康」

(2)「自分が健康であると自覚している期間の平均」(副指標)
  質問:「あなたの現在の健康状態はいかがですか?」
  回答:「よい」「まあよい」「ふつう」⇨「健康」
     「あまりよくない」「よくない」⇨「不健康」

かなりシンプルな質問ですね。

ここで③のバイアスの可能性に関してです。要は、このシンプルな質問が、本当に人々の健康状態を反映できているのか、ということに対する私見を。

・診療科により「健康」「不健康」の基準がまったく異なる

例えば、高血圧、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、など内科的な生活習慣病と言われる代表的な疾患には、ほぼ自覚症状はありません。こういった疾患をお持ちの方はご自身のことを「不健康」と認識されていないことが多く、整形外科手術の前に既往症を伺った際に「特にない」と答えられることも珍しくありません。糖尿病治療薬を飲んでいるのに「糖尿の気がある(毛❓🥸)」とか「糖尿病予備軍」と自称されたり、持病は特にないとの返答の後に内服薬を聞くと、「血圧を下げる薬くらい」「コレステロールの薬くらい」「サラサラの薬くらい」とか、あたかも健康食品かサプリでも飲んでいるかのようなご認識の方が多い印象です。このような方々がアンケートに答えると「健康」な状態とみなされちゃいがちなのではないでしょうか。

その一方で、整形外科領域ではどうでしょう。
肩や腰や膝の痛みで来院される方が多いのですが、みなさん基本的には、内科的にも「健康」な方(もしくは本人がそう思われている方)です。でも、五十肩で炎症による痛みが強くて夜眠れないような方はそりゃもう重病人のようで、アンケートに答えればきっと「不健康」に分類されることになります。

・同じ病態でも「健康」「不健康」の判断が異なる

活動性が高いと運動器の痛みや機能障害で困りますが、あまり動かれない方だとさほど困らなかったりします。そこそこ元気に仕事やスポーツをしている方は特に、動く時の痛みが苦になりやすく、聞かれればおそらく「支障がある」と答えて「不健康」とみなされますが、活動性が低い方は動かなければ特に痛みもなくてさほど「支障がない」と答えて「健康」とみなされるかも知れません。

・本人のキャラによるところが大きい

外来で「元気にやってますか?」という挨拶に対する答えは人それぞれで、「元気ですよ」と痛みがあっても毎回ポジティブな方もいれば、特にこれといった症状の訴えがなくても「元気じゃないです。なんとか生きてます…。」というネガティブな方もいます。おそらく前者は「健康」で後者は「不健康」な人とみなされます。実際には大して状態は変わらず健康そのものであったとしても。つねに楽しむために生きている人もいれば、死ぬことに対する不安をかかえて暮らしている人もいます。

何が言いたいかというと、

この「健康」か「不健康」ってのは、「幸せ」か「不幸か」、ってのと同じくらい、非常に主観的相対的な指標になりかねない、ってことです。健康かどうかを絶対的な基準で数値化することなんてできやしないので、健康寿命っていうものは、平均寿命とはかなりかけ離れた指標なんじゃないかな、と思うわけです。もちろん、概念としては理解しやすいですし、医療費、社会保障費の軽減に向けての意識づけとして、極めて大事なツールであることは間違いないのですが🤔

次に④と⑤をまとめて。

健康寿命と平均寿命とをどう解釈して、その縮小に努めることが本当に世の役に立つのだろうか?という問い。

前述の内科的な生活習慣病は、そうでない方と比べて寿命を短くすると考えられています。ただ、無症状で「健康」であると思い込んでいる人が多いのも事実であって、その間は健康寿命を生きていることになりますよね。顕在化しない不健康状態を健康状態としてカウントすれば、実は平均寿命と健康寿命の差を縮めることになります。ちなみに、生活習慣病が重篤化して自覚症状が出る頃にはだいたいもう既にヤバい状態です。脳梗塞、心筋梗塞が急に発症すれば生命にかかわります。脳梗塞で麻痺が残ったり心不全症状が残ったり、もしくは生命が絶たれるようなことがあれば急に健康寿命は終わりますし、平均寿命も当然短くなります。やっぱり平均寿命と健康寿命の差は小さくなっていそうな気がします。

その一方で、整形外科的な運動器の問題は余命にはたぶんさほど影響しません。痛みや運動機能障害によって生活に制限を強いられている方は「不健康」なわけで、健康寿命は終わってしまっていますが、でも平均寿命はおそらく内科的問題がある方より長いはずなので、健康寿命と平均寿命の差は、むしろ広がるのかも知れません。

このあたりに、この主観的な「健康」「不健康」の判断の危うさがある気がします。要するに、元気でアクティブな人の方が整形外科的痛みのせいで「不健康」と捉えやすいが長生きをして、生活疾患病有病者であまりアクティブでないが故に整形外科的痛みがない方は「健康」と捉えやすいが早死にする、というジレンマが生じているのではないかと思うのです。これらが共存すると、データの解釈が困難になります。そして、ただ単純に、健康寿命と平均寿命の差を縮めることを目標とすることに、やや疑問が残ります。

・平均寿命も、健康寿命も伸ばすことが大事?
・平均寿命と健康寿命の差を縮めることが大事?
・平均寿命に対して健康寿命の伸び率が大きくなることが大事?

もちろん、いずれもそうだと思いますが、なかなか解釈が難しいっすよね。それを目標に何かを実践することも難しい。

意外と、インフレに見合った(もしくはそれを上回る)賃金上昇の方が、生活の質を高めて幸福感を上げて、生活も健全化して、結果的に「健康寿命」も「平均寿命」も伸びてその差も縮まったりして…😅

結局なんのハナシしてんだっけ…❓

ま、健康も、幸せも、本人次第。

そういうことです😅 (ちがうか)

では、最後は🐩

アクティブなくぅ(プードルだけど芝犬)
ダラダラなくぅ

では、

See you in the next blog.
Bye now👋