🌞エビデンスの表側🌞
2023.06.01
What’s up buddy❓
なんとしてでも5月中に書き上げようと頑張って、アップロードしたら日付が変わって6月1日になってました…😭 いじけ気味な、きたかた院長でごじゃいます👨⚕️
滑り込みで先にブログ投稿してくれた、リハビリ1号2号に深謝いたします🙇♀️
最近、Guardians of the Galaxy Vol.3とワイルドスピード/ファイヤーブースト(原題は”Fast X”)を観てきました。比較するものでもないですが、ワイルドスピードの方がアクション満載で常にハラハラな感じですが、ストーリーというかドラマ的には圧倒的にGuardians of the Galaxyでした。面白かったっすよ。もう1回観てもよい感じ。
今回は、あまり楽しくはないかも知れないハナシをします🤪
前回、「エビデンスの裏側」てのを書きかけている、って言いました。ホントは英国編最後のおまけとして、Prof. Levyから聞いた話から論文読んだりして知り得たエビデンスの裏事情を中心にお話をしようと思ったんです🇬🇧 で、その後も書き進めていたんですが、めっちゃ長くなっちゃいそうだったんですよね💦
冷静に考えたら、そもそもエビデンス自体の説明をしない限り、裏側のハナシをしても意味わかりにくいしあまり響かないだろう、と思い、やっぱりまず「エビデンスの表側」から書くことにしました👏
「エビデンス」ってよく聞きますよね❓
科学的エビデンスとか、医学的エビデンスとか。
『その情報って、ちゃんとエビデンスに基づいてんの❓』とか。
「証拠」とか、「根拠」とか、何かを語る上で裏付けとなる情報を示す日本語英語。
英語では”Evidence”です。
あと、
「バイアス」なんて言葉も聞きますよね❓
選択バイアスとか、情報バイアスとか。
『その情報ってバイアスかかってんじゃないの❓』とか。
「偏り」とか、「偏見」とか、「先入観」とかっていう意味ではあるんですが、
多くの場合、エビデンスの信憑性を下げる諸事情を示す日本語英語。
英語では”Bias”です。
このエビデンスとバイアスってのは切っても切れない関係にあります。
(医学や医療という観点からの話ですので、統計や経済などからの視点ではないことをご了承下さい。)
なぜかって言うと、
何かの結論を断言できるような、バイアスの無い100%確実な医学的エビデンスなど、存在しない。
からです。(あるとすれば「人は生まれたらいずれ死ぬ。」ということくらいです。)
何言ってんだ、それでも医者か?と思われるかも知れませんが、残念ながら、紛れもない事実です。
エビデンスは不確実なものでしかない、ということは、確実です。(ややこしぃ😓)
医師って、医療サービスを提供する傍ら、医学を学びつつ研究して新しいエビデンスを創り出すことを求められる立場(たぶん)ですが、経験を積むほど、医療・医学がいかに不完全な情報の元に成り立っているか、気付かされます。(これは医学領域に限ったことではないかと思いますが。)
なんか、(特に日本では、なんですが…)エビデンスって言うと、百かゼロか?とかYESかNOか?みたいな、二者択一の状況で正しい選択肢を示す確固たる論拠のように捉えられがちですが、そんなことは全くありません。まったく。
あくまで「確定的な結論なんてどう足掻いても出し得ないんすよねー」を大前提として、
「これくらいの信憑性のあるエビデンスがあるから、こっちの方がたぶん良いっぽいんだよね、もちろん断言はできないけどねぇ。てへ。」といった感じの使われ方です。
そもそものEvidenceやBiasという概念自体の出どころである欧米諸国での考え方が、そうなんです。
それが、エビデンスの使われ方としてあるべき姿です。
だから、(日本の)大学の医局で「生意気言うな、エビデンスあんのか❗️」と上司が若い医者を全否定したり、学会で「私の論文でこう言っているのに、なんでそんな手術をしているんだ❗️」と発表者に対して攻撃的に言い切ったり、そんなんちょっとおかしいわけです。(ちょっとどころじゃないかも。あー、あかはら。)
もう一回言います。
何らかの結論を断言できるような、100%確実なエビデンスなど一切存在せんのです。
多かれ少なかれ、必ずバイアスが存在するんです。そう、必ず。
さっきも言いましたが、バイアスのない事実とすれば、
「人は生まれたら必ず死ぬこと」だけです。
いま生きている人以外は全員死んでますし、今生きている人もいずれ全員死にます。
それだけが、今のところ唯一の確固たる医学的エビデンスです。たぶん。
で、何が言いたいか、と申しますと。
それ(必ずバイアスがあるという事実)を踏まえて「エビデンス」を使用しましょう。ということ。
これ見たことありますか?👇
あ、写真間違えました。差し替え👇こっちです。
エビデンスピラミッドとか呼ばれてるんですけど、医学研究のデザイン的に見て、
上に行くほど、バイアスが減って⬇︎エビデンスレベルが上がり⬆︎
下に行くほど、バイアスが増えて⬆︎エビデンスレベルが下がる⬇︎
ってものです。
一番上には、Level 1 Evidenceとして、Systematic Review(エビデンスレベルの高い論文データを集めてまとめたエビデンス)とかRandomized Controlled Trial(無作為化比較試験)とか、「手の込んだやつ」が君臨します。
余談ですが、この手のやつメチャ手間かかるので(前にも書きましたが)ウンザリ指数は最強クラスです👇
一方で、現代の世の中の医学的エビデンスの大半は、下から2番目のCase SeriesやCase Report(比較群のない、こんな治療をしたらこんな結果が出ましたよー、スゴイでしょ🤗)というLevel 4 Evidenceになります。
ひと昔前は、一番下のExpert Opinion(エラい先生のご意見)がほとんどでしたが…。今はまだマシです。
何が言いたいか、と言うとですね、
よくいう「医学的エビデンス」のほとんどは、
「(比較的)信憑性が高くないもの」であり、
「(比較的)信憑性が高いエビデンス」は、ほーんの一部だってこと。
もう少しわかり安くする為にLevel 1のRCTとLevel 4 のCase Seriesを比べてみます👇
Level 1のRandomized Controlled Trial
👉「前向き」「無作為化」「盲検化」「比較」試験
典型例)腱板断裂に対する人工腱を用いた手術法Aを従来の手術法Bを比べるべく、倫理委員会の承認を得たかなり詳細な事前研究計画のもとに、手術法AかBをランダムに割付け、どちらの手術法か患者にも評価者にも悟られないように隠しつつ、一定期間(最低2年)経過観察して、過去に認められた評価方法を用いて統計学的に検討します。
Level 4 のCase Series
👉「後向き」「無作為化なし」「盲検化なし」「比較なし」試験
典型例)腱板断裂に対する人工腱を用いた手術法Aを施行しており、症例数が増えてきて皆さん結構調子よさそうなので、結果的に得られた成績を報告してみます。
こうやって比べると明らかですよね😅
Level 1 RCTにある「前向き」「無作為化」「盲検化」「比較」が存在しないことが、Case Seriesのエビデンスレベルを大きく下げる「バイアス」になっているわけです。
ちなみに、テレビCM等でよく宣伝されているサプリメント・健康食品やOTC薬や自由診療医療機関などに関しては、あったとしてもこのピラミッドの最低ランクLevel 5 “Expert Opinion”が関の山で(※ そのエキスパートはお金で雇われた方です)、そもそもエビデンスという土台にすら乗らない情報(満足度アンケート=バイアスの塊)を大々的に宣伝文句にしています。その事実を冷静に受け止めてからご利用下さいね。信じる者は救われると、私は強く信じていますが🙄
でもね、信憑性が低い(エビデンスレベルの低い)エビデンスに意味がないかって言うとそんなことは全くないんです。別に、あくまで比較をすると信憑性に差がある、ってだけで、どっちだろうが100%断言できるわけじゃない、って事実に変わりはないわけで。ただ単に、信憑性の差を定義づけておくことで、それらのエビデンスを使用する際の指標になるってこと。要は、エビデンスを使用して臨床に活かす立場のヒト(臨床医)がどのようにそのエビデンスを用いるか?その時点において判断基準になる指標なだけ。
「このエビデンスはレベル1だから、結構重きを置いて判断してよいだろうな。」
「このエビデンスはレベル4だから、そうかも、くらいで受け入れておくべきだろうな。」とか。
要は、判断材料です。(顧客満足度アンケートは、正直まあ、アレですが。)
論文原稿を雑誌に出す前やrevision(雑誌側から修正を求められた状況)の際に助言を求められたり、投稿された論文の査読をしたりする際に、よくあることなんですが、
著者(研究者)らが、エビデンスレベルを高めに見積もって原稿内に記載していたり、突っ込まれるバイアスを少しでも減らすべく、バレちゃうようなウソをついてごまかしたり、都合の悪い部分を隠したり、ということが見受けられます。すぐわかっちゃいます。で、なんのためにそれをしているか、っていうと、要は、できるだけ質の高い論文として掲載してもらいたい=実績をあげたい、名声を得たい、ってやつです。自分のため。医学の向上のためではありません。んなことしたって、なんの意味もないんです。そもそも、世に医学エビデンスを提供することが主眼のはずが、自分が質の高いエビデンスを提供できるすごい人間なんだ、という自己主張に変わってしまっているんですよね。そんなん要らない。
とにかく、素直に、バイアスがある部分はそれを認めて明示して、でもこういう条件下の研究の結果としてこんな事実が出てきたから、こんな風に解釈することもできるんじゃないでしょうか?最終判断はこれを読んだ個々人次第ですけどね。ってのがあるべき姿です。
すでにまあまあダークで辛口な内容になってしまった気もしなくもないですが…、
ここまでが、🌞エビデンスの表側🌞な感じです。
はい。
ここまで言っておきながら、
(比較的)信憑性が高いエビデンス=Level 1 Evidenceがすべてとっても信頼できるか?
と聞かれるとですね…、
んー、あのー、
まったくもってこんなこと言いたくないんですが、
全然そーでもないんですよ😓(もちろん自分の論文も含めてですが)
上述の「エビデンスピラミッド」ってのは、研究デザインの上でのテクニカルなバイアスの程度を定義づけしているだけなんです。要は、医学研究を行う上で「明文化された前提とすべき条件」ていうだけで、これだけで全てのバイアスは語れません。
プロレスみたいなもんです。
フォールされて3カウントで負けだとか、凶器や目や急所はダメだとか、あんまり場外にいちゃダメとか(一応)ルールに従って試合が行われて物語ができあがるわけですが、でも、その裏には色んな事情があって成り立っているんです🤔
これから、あまり表には出せないような、最強のエビデンスレベルなのに…、え…😓という事例をこっそり紹介しようと思います。刺されるかな…😅
あ、でも、なんかすでにだいぶ長くなっちゃったから、やっぱり続きは次回にしまっする💪
I shall return😎