肩のハナシ。マジメな話。
2021.05.16
元気ですかー!?
「院長ブログ」という名前のせいで院長が書かないといけなくなってしまったことに気づき、やっぱり「きたかたブログ」に変えてスタッフにも書かせよう、と思い始めた、きたかた院長です。
さ、マジメな肩の話。
ホームページ内にも書かれていますが、肩の関節を包んでいる腱板は、腕を動かす上でとても大切な働きをする筋肉です。その筋肉が腱になって上腕骨にくっついているのですが、その部分が知らぬ間に擦り切れてしまうことがあります。結果として、腕を動かすと痛みが出たり、力が入らなかったり、ひどいと腕が上がらなくなったり。
60代以上の方に多く30代以下の方にほぼ生じないこと、大多数でケガなどのきっかけがないことから、年齢が関与していることは否めませんが、やはり日頃から負担を多くかけている方で傷める頻度が多いのが特徴です。
十勝地方であれば、特に畑作農家さん、酪農家さん。もちろん畜産業も。それから漁師さんや林業に関わる方々。いわゆる第一次産業に従事される方々において、腱板断裂の頻度は非常に多い印象です。
残念なのは、五十肩という言葉の知名度が高い一方で、腱板断裂の知名度が低すぎて「診断に至らずに放置される」ことがとても多いこと。
そうなってしまう一つの要因として、腱板が切れていても「無症状だったり、痛みがあってもしばらくするとある程度良くなってしまう」ことがあげられます。
で、
仕事に支障をきたすくらいになって精密検査をしたら、かなり進行してもう修復できないレベルになってしまっていた、なんてことも。とても悲しくなります。
もちろん、肩が痛かろうが腕が上がらなかろうが、命に関わることではないですし生活はできます。
ただ、特に先に述べた第一次産業に従事される方々において言えば、そのせいで仕事を継続できなければ生活そのものに支障が出ますし、生産者として経済への影響も少なくありません。その時点での症状ももちろんですが、将来的にどこまで肩の機能を持たせることができるかも重要なんです。
では、切れていたらどうするか?
簡単に言えば2択です。①様子をみるか、②手術をするか。
診断さえついていれば、相談する余地、考える余地があります。
でも実際のところは、③知らずに過ごしている、という方が大多数…。
この①と③は、似ているようですが、エライ違いです。
断裂の特徴(大きさ、部位)を把握して、症状や画像上の断裂の変化が定期的に確認されてさえいれば、患者さんの状況(年齢、職業、家族)に応じて方針を相談できます。症状だけで言えば、注射やリハビリで日常生活に支障がないレベルまで改善することが多いです。保存的に様子をみていいのか、そうしない方が良さそうなのか。手術をする場合にも、術後に療養期間を確保しやすい適切な時期を選ぶ余地があります。
一方で、診断もつかず知らずに過ごしていたら…、
痛みが出ても過去の経験から「きっとまた良くなるだろう」と思って受診を控えてしまいがちです。そして、いよいよ仕事や生活への支障が強くなってから来院されて、ようやく診断ついた頃にはかなり断裂が進行して修復不能になっているという…。選択肢は、部分的な修復か、人工関節か、はたまた諦めて現状を受け入れるか。
肩の診療を行っていると、そういった厳しい状況に置かれた方にお会いすることが少なくありません。
単純に「早く診断をつけて手術をすればいい」と言っているわけではありません。割合は少ないですが術後経過が芳しくない人もいますし、手術後の療養期間は少なくとも半年かかります。術後早期から負荷をかけると再断裂リスクが高まります。
手術をするにしても、焦ってすぐに手術を受けて術後早期から無理に仕事復帰して再断裂することを思ば、半年待ってでも術後に十分な療養期間が確保できる時期を選ぶ方が賢明です。
最も大切なことは、患者さんが自分の肩の状態を把握して、治療方針を理解することなのです。
では、そのために何をすべきか。
やっぱり、みなさんに知って頂くことが何より大切です。
腱板断裂の診断を受けて治療をされた方は、身の回りに肩のことで困られている人がいたら、そういった可能性もあることを伝えて頂きたいんです。五十肩以外にも腱板断裂という病態があって、そうであった場合にただ放置するのはよくないこと、そして治療には時間をかける必要があること、を。
きたかた整形外科クリニックとしましては、
来院さえしてくれれば、直接お話できます。
それから、
診察室での説明だけではなく、院外における情報発信や啓蒙活動。SNS、市民講座、住民健診などなど。そして、十勝では何よりもカチマイとクチコミ笑
みなさんが知ってくれて、腱板断裂しているかもしれない方々がちゃんと受診してくれれば、きちんと診察して診断します。診断がつけば、患者さんのおかれている状況に応じて、一緒に相談しながら最良の治療方針を選んでいけます。
きたかた整形外科クリニック、
まずはこのようなカタチで地域貢献ができたらいいな、と思っています!